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どうやら、拙宅では、今年で5回目の誕生日おめでとうございます、のようです。
あ、今日は仕事があったので、受け取りは姉に行ってもらいました。
寧ろ、予約から姉に行ってもらいました(笑)
今日は平日だからでしょうね、誕生日ケーキは3人。
一番上が勝真さん。
勝真さんです。
うへへ...
ケーキは、これから食べるのですが、写真はもう撮っちゃったvvv
これから食べてきます。
というわけで、恒例の、『勝花SS』です。
恋の鞘当
「わぁ...」
頬を撫でる風は温かく、少し伸びた髪を押さえて花梨は感嘆の声を漏らす。
1年前のこの時期に、勝真に連れてきてもらった船岡山。
ここから見る風景は久しぶりだった。
先日、勝真から文が届いた。
もう少し温かくなったら船岡山に行こうという誘いの文だ。
花梨は迷いことなくそれに対して了解の返事をした。
そして、その約束の日の今日、勝真の愛馬に乗せてもらい船岡山へとやってきた。
今朝は張り切ってお弁当も作った。
この世界の姫は、自らそういう事はせず、下々の者達にさせるのが常だが、花梨はしばしば庖厨に立つ。
最初の頃は紫姫は少し困った様子で見ていたが、花梨の表情を見て諦めたとか。
この世界に残ると決めた花梨は、こちらの女性としての振る舞いや教養を身に付けるために勉強の毎日だ。
それは、自分のためであるが、それ以上に花梨にとっては勝真のためでもある。
彼と共に生きていきたいと願い、それは勝真も同じでもう少ししたら2人は夫婦になる。
そんなとき、勝真に恥をかかせるわけには行かない。
こちらの教養も身に付け、彼が恥じることのない妻として共に生きていきたい。
勝真としてはすぐにでもという気持ちがあったが、こちらの世界にもう少し馴染んでから、という紫姫の猛反対に会い、致し方なく現在の状況になっている。
しかし、何が気に入らないかといえば...
「花梨」
勝真に呼ばれて振り返る。
「はい」
不意打ちで奪われた唇。
少し呆気にとられ、そして花梨はむぅ、とむくれる。
「勝真さん!」
「何だ?」
「何度言ったら分かってもらえるんですか。不意打ちはダメです」
「しかし、この間はその言葉を汲んで『口吻けるぞ』と予告したら全力で逃げたじゃないか」
あれはかなり傷ついた。
そんな勝真の指摘に花梨はぐっと詰まる。
たしかに、予告してもらえた。
予告してもらえたが、あんな眸で見つめられれば恥ずかしくなって逃げてしまうのは仕方のないことだと思う。
「それはね、勝真。神子殿は君との接吻を嫌がっているという答え以外ないのではないかな?」
そういいながら花梨を後ろから抱きすくめる不届き者がいた。
「翡翠!」
出た!と心の中で呟く勝真。
そう。勝真が気に入らないのは、四条の、紫姫の邸には元八葉が気軽に出入りしていると言うことだ。
元々、あの邸を拠点に京の平和を取り戻すため怨霊と戦っていたので、八葉だった彼らにとって敷居は然程高くない。
本来なら気軽に足を運べるような気安い身分の邸ではないのに、そういった経緯があるため市井に暮らすイサトも花梨を誘いにしばしばやって来ると深苑から聞いたときにはとても複雑な気分だった。
「お前、伊予に帰って海賊稼業に精を出してるんじゃなかったのか?!」
「おや、京職の君が私の稼業に肯定的だなんて、驚きだね」
クスリと笑う翡翠はまだ花梨を抱きしめたままだった。
「花梨を離せ」
「私は海賊だよ。人のものを盗むのが生業だ。というわけで、勝真。君の姫は私が貰って帰るよ」
「ふざけるな!」
恋の鞘当、寧ろ翡翠の横恋慕が目の前で展開されている中、花梨が「あのー」と小さく右手を挙げた。
「何だい、神子殿」
「どうした、花梨」
「翡翠さん。私は『もの』ではありません」
「おや、これは失礼したね」
そう言って翡翠は、自らの腕の檻から花梨を解放した。
「勝真さんも。翡翠さんは本気で言ってるわけじゃないですよ」
本気で言ってるんだよ、そいつは...!
勝真は心の中でそんなツッコミを入れたが、とりあえず、臨戦態勢を解いた。
「まったく、2人ともいい大人が」
プリプリと怒ったフリをする花梨があまりに可愛くて、勝真は彼女を抱きしめた。
「勝真さん?!」
「仕方ない。今日は私は引くことにしよう。これ以上神子殿にちょっかいを出して君の愛馬に蹴られてしまえば、ひとたまりもなさそうだ」
肩を竦めて翡翠がいい、「では、神子殿。また...ね」と艶っぽい声で花梨に挨拶をしてその場を悠然と去っていった。
「二度と花梨に近付くな!」
翡翠の背にそんな言葉を投げると「はははは」と愉快そうな笑い声が返ってきた。
「あの、勝真さん」
もぞりと腕の中の花梨が動く。
「ああ、すまない。苦しかったか?」
「翡翠さん、帰っちゃったんですか?」
「何だ、翡翠の方が良いのか」
拗ねた勝真の額をぺしっと背伸びをした花梨が軽く叩く。
「勝真さんが良いんです」
まっすぐ目を見て言う彼女に、勝真は胸が熱くなり思わず視線を外した。
暫く遠くの山に視線を向けていた勝真はやがて腰を折って「口吻けるぞ」と花梨の唇に触れる寸前に呟き、彼女の返事は合わせた唇の間で溶けてしまった。
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勝真さんってからかいがいがありそうだからね、翡翠にとっては。
誕生日、おめでとうございます!

